映画「earth(地球)」を観に行こう
ユニモで公開された「erath」を初日に観た。今は亡き茨木のり子さんの詩を読んで以来、いつか見たい見たいと思っていた映像がすべて入っている。感受性がイマイチなので詩は創れないが紹介はできる。ぜひ、子供たちに見せてあげてほしい。文科省後援で子供一人500円である。
水の星
宇宙の漆黒の闇のなかを
ひっそりまわる水の星
まわりには仲間もなく親戚もなく
まるで孤独な星なんだ
生まれてこのかた
なにに一番驚いたかと言えば
水一滴もこぼさずに廻る地球を
外からパチリと写した一枚の写真
こういうところに棲んでいましたか
これを見なかった昔のひととは
線引きできるほどの意識の差が出てくる筈なのに
みんなわりあいぼんやりとしている
太陽からの距離がほどほどで
それで水がたっぷりと渦まくのであるらしい
中は火の玉だっていうのに
ありえない不思議 蒼い星
すざましい洪水の記憶が残り
ノアの箱舟の伝説が生まれたのだろうけれど
善良な者たちだけが選ばれて積まれた船であったのに
子子孫孫のていたらくを見れば、この言い伝えもいたって怪しい
軌道を逸れることもなく いまだ死の星にもならず
命の豊穣を抱えながら
どこかさびしげな 水の星
極小の一分子でもある人間が ゆえなくさびしいのもあたりまえで
あたりまえすぎることは言わないほうがいいのでしょう
鶴
鶴が
ヒマラヤを越える
たった数日間だけの上昇気流を捉え
巻きあがり巻きあがりして
九千メートルに近い峨峨たるヒマラヤ山系を
越える
カウカウと鳴きかわしながら
どうやってリーダーを決めるのだろう
どうやって見事な隊列を組むのだろう
涼しい北で夏の繁殖を終え
育った雛もろとも
越冬地のインドへ命がけの旅
映像が捉えるまで
誰にも信じることができなかった
白皚皚のヒマラヤ山系
突き抜けるような蒼い空
遠目にもけんめいな羽ばたきが見える
なにかへの合図でもあるような
純白のハンカチ打ち振るような
清冽な羽ばたき
羽ばたいて
羽ばたいて
わたしのなかにわずかに残る
澄んだものが
はげしく反応して さざなみ立つ
今も
目をつむれば
まなかいを飛ぶ
アネハヅルの無垢ないのちの
無数のきらめき
*「倚りかからず」 茨木のり子 より
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